秋の深まったびわ湖北部の河川にビワマスが遡上しています。
ビワマスは、サケ科に属する淡水魚であり、びわ湖のみに生息する固有種です。
サケと同様、川に遡上し産卵します。
川底で孵化したビワマスは一定期間を川で過ごした後、びわ湖に降り、2~5年ほど湖を回遊します。
成熟した個体は、秋を迎えるころ川に遡上し、産卵後その一生を終えます。
北日本や北海道ではよく見られる光景ですが、ここ近畿でサケ科魚類の産卵行動を目にすることに驚き、感動される方が多くおられます。
川の中程に、ビワマスが川底を掘って卵を産み、埋め戻した痕跡である産卵床が確認できます。
そばの浅瀬には、産卵行動を終えたビワマスが寿命を終えようとしています。
深みでは婚姻色の現れた親魚が産卵のタイミングを計っています。
ビワマスはびわ湖を代表する水産資源でありながら、その生態や資源量など、まだわかっていないことが多くあります。
産卵期にあたる10~11月末は資源保護のための禁漁期であり、採捕は固く禁止されています。
密漁を行わないのはもちろんのこと、ビワマスが遡上する自然豊かな河川環境を、みなさまと見守りたいと思います。